千の手数を覚えるなら、一つの「型」に習熟しなさいとは古くからの諺だが、千変万化、万通りの寸尺を持つ人間相手に、一つの武術の「型」なんか通用するはずないと、言いたげなのは近代批判精神のさからしさ。
結局、「型」がなければ「型破り」もないとは、これもまた使い古されたレトリックだが、本当の個性とは、文体ではなく行間に滲むことが少しでもわかるのなら、文体無くして行間だって生まれまい。
「型」はやり尽くさなければわからない。 そして重要なことは、やり尽くした先に、本当のオリジナルがあるのだなんて、誰がそんなアホなことを言うものか。結局やり尽くしてみた先は、個性だとかオリジナリティだとかも言う気が失せる世界だ。
してみると、「型」とは覚えるものではない。「尽くす」モノだと、最近はとみに思う。
「一年幸福でいたかったら、新しい家を建てなさい。一生幸福でいたかったら、武術を覚えなさい」。
誰が言ったか、言わずかである。
八卦掌。連環掌(部分)用法解説。 https://youtu.be/uZ0VLUU9_4w
おしまい。